昨夜の予報ではたしかに言っていた。
今日はよく晴れて気温も20度近くまで上がる絶好の行楽日和、と。
雨じゃないか~~~~~!
寒くて薪ストーブ焚いてるじゃないか~~~~~!
そんなこんなの軽井沢ですよ。例年より国道も混んでないらしいです(お客さん情報)。上田に新しく出来たなんちゃらいう巨大ショッピングセンターもたいしたことないって(お客さん情報)。自分は動かざること山の如し(笑)
『空白の5マイル』 角幡 唯介
いい。実にいい。ほんとにいい。おすすめ。
チベットに、カイラスの麓に発するヤル・ツァンポーという大河がありましてね。この大河はチベット高地のヒマラヤの北側をずりずりと西から東へ流れていった挙句、消えるんですよ。
実際には消えないんだけど、あまりにも峡谷が急峻すぎて、誰もその流れの行方を追えない。
消えたヤル・ツァンポーはどこへ行くのか。これが長い間謎だったのだそうで。
答えは、チベット東部からインドへ真南に下り、プラマプトラと名を変えてバングラディシュを経てベンガル湾に注ぐ、のでありますが。
この、川が消えるあたり、深い深い峡谷と断崖絶壁に行く手を阻まれて誰もその全容を見たことがないといわれるこの地域、しかもチベット自治区内だから様々な制約もつきまとうこの地域を、物の怪にとり憑かれたように彷徨した男のルポルタージュです、この本は。
昔の話ではなくて、ごく近年。何せ著者は 私よりも10歳も若い。
そんじょそこらの旅行記なんかとは格が違います。新聞記者の経験もある人だから文章も的確でうまい。過去の史実とからませていく構成も見事でした。近年稀に見るというか、ここ数十年でも傑出したルポじゃないかと思う。ほめすぎか?
今でもこういうわけわからんことをやってる奴がいて、それをこういう正攻法で書く奴がいて、それが評価されているってことが、すごくうれしかったな。もうこういう正攻法の直球はだめなんじゃないかと、密かに思ってたのでね。あ、因みにこちら、昨年の開高健賞受賞作ね。
姐さんが特に惚れた点。
人は、とりつかれるから、そこに行くんだよ、ってこと。誰もやったことがないからとか、これやったら金になるから行くやつなんざそこらの犬にでも食わせてしまえ、ってんだ。理由なんかない(後付けの理由はいくらでもあるけどね)、何が何でも行きたいから行くんだよ、それで死んだっていいんだ。計算じゃねぇ、ステップとして行くんでもねぇ。だから、いい。
スポンサーをつけてないこと。気に入った。もうね、どいつもこいつも、事前に企画書持ってあちこち行ってさ、装備もらったり金もらったりすんのよ。てめぇが命賭ける遊びにさ、何が悲しくて他人の金を使わなくちゃならないのよ? だから所詮、そいつらは命なんか賭けてないのよ、それほどの熱さは持ってないのよ、オシゴトなのよ。あたしは他人の金でやった冒険も旅も、まるっきり評価しないからね。だからこの人、いいよ。100円ショップで買ったレジャーシートをツェルトの上に張るのよ、そしたら結露が防げるんだって。装備もらう奴らは、モン○ルのゴアテックスのツェルト持って行くから結露なんかしないのよっ!(するかもしれないけどw)
と、久しぶりに熱くなってしまいましたが、とにかく出色の辺境ノンフィクションであることは間違いないです。こういうのが好きな人はぜひどうぞ。★5つだ、持ってけどろぼー!
著者の名前を調べようとamazonに行ったら、『脱出記~シベリアからインドまで歩いた男たち』っつう本が紹介されてた。おもしろそう~、ぜひ読もう。シベリアからインドってことは、当然ながらチベットからヒマラヤ越えてるわけでしょ? あのへんにはやっぱり目がないっす、わたし。文庫なんで買ったわw
『どこから行っても遠い町』 川上弘美
この作家の小説はけっこう好きで、よく読んでます。これは連作短編集で、絡まるでもなく絡まる淡い関係性の町の人々の群像劇。物足りないといえばそうだけど、それがこの人の持ち味かも。
読んで理解する、書いてあることがわかる、ということでは全然なくて。
そこに書かれている一文が、既にして自分の中にあるものだと「わかる」、得心のあるなし、によって、評価が大いに分かれる作品かもと思いました。私はそういう一文があちこちに散らばっていて、ずいぶんと腑に落ちましたので、いい小説だと思いました。★4つ
チベットか・・・。
アバはどうなったのかな。ではまた