小雪舞う

朝起きると地面がうっすら白い。夜の間にすこし降ったようだ。
浅間の雪雲がこちらに流れて、昼過ぎまでは小雪が舞う時間帯も多かった。昨日は15℃くらいあったらしいが、今日は真冬日の予報だった。実際はどうだったかな……。
冬になってもテレビはあまり映らないわが家だ。

台湾の人が書いた小説を読み始め、半分読んだところ。先住民(台湾では原住民と表記すると思う)の話で、霧社事件なども出てくる。日本が先住民を支配しようとしたことで、大きな事件がいくつか起き、双方にそれぞれ多数の死者が出た、そんな一つ。
寿峠という、西海岸から東海岸へ抜けるためにどうしても越えなければならない峠の途中に、牡丹という村があった。1874年の台湾出兵の舞台となった場所だ。牡丹小学校が道沿いにあった。コンビニもあったかな? もっと下の方だったかな。その辺りはひたすらの上り坂だった。強い風が吹いており、覚えているのは目の前に延々と続く上りの道路。先住民族のモニュメントはいくつかあったと思うが、詳しくは知らず通り過ぎただけだった。
行く前に読んでいたら、また違う感興もあったかもしれないなと思う。

今年6月から7月にかけてマレーシアを旅したのだが、いちばん強く記憶に残ったのは最後に寄った台湾で、数カ月前に自分が自転車で走った道を見たこと、歩いたこと、だった。すこし列車にも乗った。その線路は道路と平行して走っているところが多くあり、車窓から見える道路がまさにあの日の、それなのだった。記憶が事細かに蘇り、実に楽しくうれしかった。
自転車で走るというのは、列車やバスで移動するのとはまったく違うことだったんだと、あらためて思った。
しんどかったけれど、終わってみれば楽しかったし、やれてよかったと。通り過ぎたたくさんの町の名は、ペダルを漕いだことでより深く記憶に刻まれた。