意外、案外、存外・・・

別に意味はないんですけど、ちょっと並べてみただけ。

三重県の女子中学生殺人事件の犯人が高校生だったり。
千葉県の通り魔が現場の目と鼻の先に住んでいる人が犯人らしかったり(まだ確定ではない)。
高校生の方は事件後もごく普通に生活し、学校でも明るく振舞っていたのだそうな。
千葉県の犯人も、もしその人なんだとしたら、報道陣の問いかけにたくさんしゃべって答えていたのだとか。
信じられない、そんなのは人ではない、と思う一方で、案外人ってそういう生き物なんじゃ・・・・・・? とも思う。
池波正太郎もよく書いている。仏の顔と悪鬼の顔と、両方をごく自然に持っているのが人という生き物だ、と。そしてこんなふうに続ける。「おや変な顔をしているね、お前さんだってそうじゃないとは言わせないよ」と。

いろんな事件が起きると、「心の闇」なんていう言葉が安っぽく頻繁に使われるけれども。
闇のない心なんて、持っている人間がいるんだろうか?
闇の部分があるから、光の部分もあるんじゃないか。

こないだの本の話の続きというか、思い出したこと。
沢木耕太郎というノンフィクション作家が、『深夜特急』という世界放浪記で世に出た。その後ノンフィクションでいい作品を書き始めて売れっ子になった頃、とある飲み屋の女将に言われた言葉が、「スカッと爽やかサワ・コーラ」。因みに沢木耕太郎はしばしばサワコーと略して呼ばれるので、それをもじってからかったんだろう。味がない、爽やかなだけで深みがない、記憶にも残らない、そんなような意味を持たせたその言葉を、サワコーもそう受け取って、そうかもしれない、的に自虐も含めて書いていた。こんなあまり名誉ではない逸話を書いてしまうあたりが、サワコーの人としての誠実さなんだろう。
付け加えておくけれども、沢木耕太郎は非常に優れたノンフィクションの書き手だ。信頼の置ける文章を書く。近年では登山家の山野井夫妻を書いた『凍』がよかった。
でも私は、未だに『深夜特急』を読んでいない。手に取ったことがない。

小田実の『何でも見てやろう』、サワコーの『深夜特急』、その次の世代ではなんだろう『アジアパー伝』ではないと思うが(笑)、旅をしようという若者はいつの時代にもいる。ただ、いろいろと読んできて思うのは、旅もずいぶん変わった、今も変わり続けているということ。特にここ10年ほどの間というのは、インターネットが急速に普及した時期で、人が見せるための旅をし始めた時期。ブログの記事のために旅をする、的な、本末転倒系の旅行者も増えた。
先日読んだ開高健賞の本にも、見せるために、読者を惹きつけるために、あえて危険な方法を選んだり、現地の人と触れ合ったり、と思える箇所がいくつかあり、その不自然さに最も興を削がれた。旅をしていたら、エピソードはたくさん出来るけれども、そのひとつひとつに、いちいちオチなんかない。と、私は自分の旅を振り返って感じる。

予報どおり雪も降りましたがみぞれや雨の時間も多く、ほとんど積もりませんでした。明日は一応、晴れてくる予報ですが、真冬日・・・・・・。寒いね~、3月なのに。ではまた