駄作のオンパレイド

母親を見舞ったら、「文藝春秋」を「読む?」と渡されたので、借りてきて今日ぱらぱらと読んでみました。

この月刊誌は父が好きで、毎月必ず買って帰宅していたものでした。小学生の頃から、当然のように私も読んでいました。考えてみると、私が文字に親しむようになったのは、やはり父の影響かな。家にまったく本がなければ、本好きの子は育たないような気がします。わからんけどね。私は父の本棚にあった松本清張や有吉佐和子、瀬戸内晴美(後の寂聴)、小松左京、星新一、なんかを片っ端から読んで本好きになったんだと思います。

巻頭の数本のエッセイの中に、ちょっと前に芥川賞を取った朝吹真理子さんという作家が書いていて、これがさすがにうまい。「さびしいという感情でひたひたになる」なんて、なかなか書けないよな。ちょっとぐぐったら、この人の係累のすごさには絶句してしまったけど。でもどんなに係累がすごくたって、ダメなもんはダメだから、ね。

昨年亡くなった歌人の河野裕子さんのご主人(この人も歌人)が寄せた文もよかったです。歌を詠み合うというのは日本の伝統でもあるけれど(よくは知らないけど古典では歌を贈りあってますよね)、実際に今、それができる夫婦なんてのは滅多にいないわけで。このご夫婦のように歌を交わす(詠む)ことによってお互いの今、お互いの気持ちを伝え合う、あるいは結果として伝え合うことになる、というのは、素敵なことだと思いました。「伝える」ということについて考えさせられた続きとして。
『たとへば君 四十年の恋歌』という本が出ています。文藝春秋社から。
このタイトルは、歌人の代表的な歌でもある「たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに 私をさらつて行つてはくれぬか」からとったものかと思われます。

この号には芥川賞の候補作が載っていました。受賞作があれば当然それが載るわけですが、該当なしだったので。これはまだ読んでいませんが、選評が面白かった。実は昔から、選評が大好きで・・・w
小川洋子さんはさすが、愛のある選評でした。誰に対しても、愛がある。ヒントを与えている。さすがです。
山田詠美。生きていたんだね、こんなところで。言いたいこと言ってるが、まぁいいでしょ。
黒井千次、宮本輝、高樹のぶ子あたりのベテラン勢が続き、池澤夏樹はまぁ順当なことを言っていて、島田雅彦は孤軍奮闘しかし御大たちの前に敗れ去り、村上龍は小説とは別のことを書いており、川上弘美はこの人らしくさらりとふわりと書いてます。芥川賞の選考委員の顔ぶれを、久しぶりにちゃんと知りました。
タイトルに書いたのは、石原慎太郎の選評のタイトル。あなたが言うかw

このところ仕事が忙しく、余裕もなくて(笑っちゃいけません)、まったく本を読んでいなかったなぁと気づきました。ネットで読み飛ばすブログやらなにやらはあるにしても、プロの書き手がちゃんと書いた文章は、また別もの。いい文章を読んだときは、しあわせな気分になります。

本日は一日雨でした。気温もぐっと低く、日暮れてから国道を走ったら17度の表示。明日も雨? すもものジャム煮2度目。ではまた