心守歌、流亡記

中島みゆきさんに「心守歌」という歌があります。アルバムのタイトルにもなっている歌です。残念ながらyoutubeにはないみたいです。残念と言っていいのか・・・?

この歌を聴くたびに、開高健の「流亡記」をイメージしてきました。

♪目をつむればいつでも膝の傍らを
風に揺れる野バラの枯れ枝がつつく
凍る石の褥にひとり目を覚ませば
ほつれかけた上着の裾が風を聴く♪

西域の、荒野が目に浮かびます。時代ははるか昔。
黄土高原のあたりか、さらにもっと西のタクラマカンの北あたりか。
イントロを聴くだけで広がる乾いた大地の風景。
嘶く馬、舞い上がる砂塵、白い布の天幕、労働する男たち。
そんなイメージがふつふつと湧きあがる歌です。


久しぶりに読んでみました。
「流亡記」は古代中国の、万里の長城を作る頃の話。次から次へと侵略され続ける西域の町が舞台。そこに暮らす男のあきらめきった独白で小説が成り立っています。やがて男は狩られ、長城建設の奴隷工として別の町に引き立てられていき・・・。
まったく救いのない小説です。人の営みはすべて何の意味もない。
(『パニック・裸の王様』に所収、新潮文庫)

なんか違うな・・・?
と思ったのは、この出だしかな。
おや? こんな書き出しだったか、この小説は・・・。
読み進めても、やっぱり何だかイメージが違う。
場所と時代的にはオーケーなんだけど、私のイメージの中の「流亡記」は、西域の市場の雑踏の中に異民族の女が連れてこられて、そのすさまじい美しさに主人公が圧倒されて・・・、というような書き出しだったと思うのだけど。

井上靖かなと思って、持っている本を開いたけど、そこにはなかった。
他にこの手のものを書きそうな人は誰だろう。中島敦? 
まさか和巳じゃないよね。もっとメジャーな、よく読まれる小説のように思えるんだけど。
井上靖かな、やっぱり。
知ってる人いたら教えて。

まぁ、「流亡記」でいっこうに構わないのですが、この曲のイメージとしては。
このアルバムは発売当時あまり聴かなくて、初めてタイで越冬したときに、よく聴いたんです。明るい日差しが降り注ぐチェンマイのアパートや街なかで、よくこの歌を歌いました。ゆっくりなので歌いやすいのw 当時の私の歩調にぴったりだったんです。

自分が旅を続けているからか、数多い曲の中でも旅をテーマにした歌はやっぱり好きです。
その旅は、どこか別の場所に行く旅のことだけじゃなく、人生という旅をさすのだ、とは理解しつつも、ね。

まとまらん。
いい、ER15  観る。
明日は真冬日、ではまた