中井貴一と中国と下駄のおっさんのこと

『日記』 中井貴一

面白そうなので借りてきた本、一気に読了しました。ヘブンアンドアースという映画に出演した時の、中国滞在記。実際の日記と、振り返って書いたものが同時進行していく形。とてもおもしろかった。2001年の新疆ウイグル自治区が中心なのだけど、その頃でもこんなだったのか! の連続でした。
中井貴一は私の中では何と言っても「ふぞろいの林檎」であり、「おーい水島~、一緒に日本に帰ろう~」であり、ミキプルーンの人(笑)。
ただ、この中国滞在の話は、徹子の部屋だったかな~、何かで語っていたのをたまたま見たことがあり、中国語で値切るのがとても上手い、という話が印象に残ってました。

いちばん笑ったのが、撮影途中に田舎のとんでもないロケ現場から大都会ウルムチ(私はクソ田舎ウルムチ時代しか知らない)に戻り、そこの高級ホテルのトイレを借りた時に、「俺はここに住める!」と叫んだところ。
わかるわかるわかるわかるわかるわかる~~~~~!!!
私は初めて中国に行った88年、どんな場所も小田急バスの床に劣っており、私はあのバスの床で寝ろと言われれば喜んで寝られると思ったな。
あとはまぁ、貴一さんが怒る怒る怒る! 
私は旅行者として中国人と関わるだけなので、腹立ってもそんな奴ほっぽって次へ行っちまえばいいだけなんだけど、仕事でこれだときついわな~。大変だ~。

フェイウォンが日本に来てドラマに出たことがあるとは知ってたけど、中井貴一と共演してたんだなと知った。
ロケ現場に向かうとんでもないド田舎の電波も入らないはずの場所で、映画監督の相米慎二さんの訃報を受け取った、との記述。そうか・・・・・・。何だか「しん」としてしまった。

人生でただ一度、映画の仕事に関わりそうになった、関わりかけた時、その監督さんが相米さんだった。初めて会ったのは大宮の駅、「ハゲたおっさんが下駄はいて行きますんでわかると思う」とマネージャーさんに言われていた、そのとおりの人が歩いてきたっけな。とてもシャイな人だったと思う。5~6回しかお会いしてないので、とても人となりなんてわからないけれど、「相米さんは人潰しだから気をつけろ」と忠告してくれた人もあったけど、全然全然そんなことない、とてもとてもいい人だったですよ。あれは、そう言ったあの人の・・・・・・。
下駄はいて、寒がりだからってまだそんな時期じゃなかったのにコート着てたこと。
「セーラー服と機関銃を見ました」と話したら、二度とその題名を口にするなと言われたこと(笑)。
「チベットの話を色んな人から聞いてる、雑談でいいから話を聞かせて」ということで会ったのに、二度目に会った時に唐突に、「おまえ書けよ」と言われたこと。
書き上げて持ってったシノプシスを、監督、マネージャー、助監督の3人が目の前で目を通した、その時間の長かったこと長かったこと。
ロケハンは私が案内していくことに決まっていたけど、本番は役者やスタッフと大量の人が動くので私の出番はないかと思い、でも一応、「あの~、本番の時は私は・・・・・・?」と聞いたら、「おまえが行かなくてどうするんだよ!」と怒られたこと。
お金が集まらなくて企画がぽしゃり、残念会でちゃんこ鍋食べたこと、女将が私の小鉢に七味唐辛子をどばっとぶちこんだこと、ハラコワシタこと、ハラコワシながら明日旅行会社に電話してチケットキャンセルしなきゃなと考えたこと。
お腹壊したので何だか尻切れっぽく慌ただしくお暇してしまい、何となく気持ちが残ってしまったこと。
成立しなかった仕事だからギャラはないと思ってたら、支払ってくれたこと。
いろいろなことを思い出しました。

ギャラなんて踏み倒されることはあっても、最初に約束もしなかったのを払ってもらうことなんてなかった出版業界と違って、映画業界ってなんてちゃんとしてるんだろうと感心した。
この本を読んだら、相米さんはお金を全部スタッフのために使ってしまって自分は文無しで、その相米さんにお金をあげるためのチャリティーゴルフ大会があったりしたそうだ。私がもらったギャラも、もしかしたら潤沢にあった資金から出たものではなかったのかも。

なんでチベットを舞台にした映画を撮りたいと思ったんだろう。なんで私に書かせてみるかと思ったんだろうか。
どんな映画を撮りたかったのかな。その時いろんな話をしているはずなのに、大事なことをみんな忘れてる。
ロケハン突入して行ったらどうなってたんだろう、あの時代のチベットでカメラを回せたんだろうか???
その後はお会いする機会ももちろんなく、そしてあんなに早く亡くなってしまうとは思ってもいなかった。

そんな時代もあったねと、だな、ほんとに。

そうそう、折も折、その相米さんのマネージャーだった方から新しい映画の案内を頂いていたんでした。
太陽の座る場所  という映画
ちょうど今やってるみたいです。このへんではちょっと・・・・・・、来月東京行くんだけど、まだやってるかな?

で、ヘブンアンドアースという映画ですが。本によると無茶苦茶な監督とスタッフによりぐだぐだに作られた映画みたいな印象なので、うーん、特に見なくてもいいかなと思ってしまった(笑) 
貴一さんはこの後にも1本中国で映画に出ているらしく、「日記2」という本もあるらしい。

本日の軽井沢、朝は氷点下。明日もそんな感じで晴れ。ではまた~

追記) 今そのマネさんの所属する「組」のホームページ見に行ったら、なんと! 映画監督の、ネギさんが所属してるっつうかえぇとなんつうの? だったよ! いやぁびっくりしたびっくりしたびっくりした。ネギさんといえばみゆきさんの「夜会」とか撮ってる人だよ。ひぇー。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)