冬季K2 チーム・ネパールが制す

10日近く前のニュースだが、パキスタンと中国国境に聳える世界第二位の高峰K2に、ネパール人ばかり10人が同時登頂した。
2つのびっくりがある。
1つは言うまでもなく、今まで一度も登られたことのない冬季のK2がついに登られた、ということ。
2つ目は、今までは外国人登山家の陰にいた裏方さんのネパール人たちが主役として登った、ということ。
世界は変わって行くということの一つの象徴かもしれない。素晴らしいことが成し遂げられたと思う。

K2は魔の山とも呼ばれる、死亡率が非常に高い山だ。エベレストよりも遥かに難しいと言われる。それを証拠に8000m峰14座の中で冬季登頂されていなかった山はK2だけだ。それが今回ついに。しかも西欧先進国の人間ではなく、山の民ネパール人たちによって。

ネパール隊はもともと3つのグループであったのが、途中で合流して協力し合い、大量登頂に結び付いた由。その10人の中に、8000m峰14座登頂者が2人いるということも驚きだ。
ヒマラヤ登山はシェルパに代表されるネパール山岳民族の助力なしにはほぼ成立し得ない。単独登山する人もいるが、ベースまでの荷揚げサポートは使うことが多いと思う。単独以外の通常登山は登山家とシェルパが一緒に道を開き、梯子をかけたりザイルを設置したりして登っていく。商業登山になるともうほぼ完全にシェルパが道を作ると考えてよいと思う。登る際にも彼らがサポートしてくれる。場合によっては酸素も持ってくれる。やばい時には背負ってもくれる。そうして成り立ってきたのがヒマラヤ登山史である。
先進国の金持ちが世界最貧国の一つである国の民を使って記録を打ち立てたり楽しんだりしてきた、とも言えなくもない、というか言える。そういった状況に長く甘んじてきた彼らが、ついに表舞台に立つようになったのだ、と思うと感慨深い。

2020年はコロナのせいでヒマラヤの登頂数も少なかったのではないかと思う。そんな中での明るいニュースだった。ただ、同時期におそらく一緒に(?)登っていたスペインの登山家が一人亡くなっている。やはり魔の山だと思わされる。

ではまた

 

 

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