残すところ9時間くらいになった2020年。
コロナ一色に塗りつぶされたかのような一年だった。その中でももちろん色々なことがあり、色々なことを考えたり悩んだり迷ったりした。
八ヶ岳
野辺山あたりから。冠雪した山の美しさは独特だといつも思う。
鳴沢あたりから富士山
今年は雪が少ないらしい、例年の姿をよく知らないのであれだけど
29日に知人の別荘にまたまた出かけてきた。薪が調達できなくて、という話を聞いたので、我が家のものをお持ちした。年末年始、心おきなく焚いていただきたい。
帰り道、野辺山あたりから群馬県境方向
残照が山に当たり、その上に月が出ていた。ベストタイミングから数分遅れになってしまい、残念だった(^^; 林があったりしてなかなか撮れなかった
中国はここにある~貧しき人々のむれ 梁鴻
そんな2020年最後に読んだのがこれ。原題は「中国在梁庄」、(「中国は梁庄にあり」)。
取材は2009年、2010年に中国で上梓されたものの日本語訳。インテリ中のインテリである著者が自身の出生地に数か月滞在し、家族や知人から様々な話を聞き取ったノンフィクション作品。梁庄は河南省にある典型的な農村である。3つの姓の家がその村の中核を成し、その他の姓の無力な家々を周囲に置き、ただただ貧困にあえいだ時代から共産革命、文革、改革開放と、時代に翻弄されてきた。
文革時代に著者の父が批判される側であったエピソードが興味深い。同じ姓、つまり親戚に糾弾され、しかし嵐が去ればまたその親戚と付き合うという、あまりにも不条理な「村で生きるということ」。その連なりの中で著者の母は怒りのあまり憤死している。農民が農地を離れざるを得なくなった90年代以降の政策(失策)や、元気なものは全員出稼ぎに行って村には老人と、老人に押し付けられた孫たちしかいないという現在。出稼ぎに出た者は村に家を建てるが、住む人もなく廃墟になっていくという矛盾。
中国という国の底知れなさが、淡々とした「聞き取り」の積み重ねから立ち上がってくる。
☆4.5 大変意義深い良書であった
中国は2028年までにアメリカを追い抜き、世界最大の経済大国となるそうだ。この本の取材が行われたのはもう10年以上前になるわけだが、今現在も農村が取り残されている実情に大きな変化はないように思う。中国は農民の国だったのに、いつの間にか農産物輸入大国になっている。農民がなぜ農地を離れるのか、その答えの一つが書かれていて興味深かった。今では農民に過酷な税を強いることはなく、むしろ助成金が出たりするそうだ。そのへんは日本と一緒だと思った。
20世紀最大の実験と呼ばれた中国の社会主義は、これからどこに向かうのか。経済至上主義によって破壊された民族の精神性のようなものは、今後回復されるのか。取り残された人々に恩恵が行きわたるのにあとどのくらいかかるのか。
相変わらず、中国からは目が離せないなと思う。これほど外から見て面白い(興味深い)国はあまりない。
来年はもうちょっと本を読みたいな。
2021年は、今年よりはよい年になることを願って。
コロナの終息と渡航自由化を祈りたい。
よい年をお迎えください。