メリークリスマス!

午前中曇って冷え込む軽井沢です。午後になって晴れましたが、もう日は傾いています。

ハノイ旧市街のとある通り。
ハノイに着いた翌朝、この通りにある麺屋でワンタン麺を食べていたら、20年前に中国の雲南省で会った人が同じようにふらりと店に入ってきて、びっくりでした。

1989年の雲南省・大理。
当時はバックパッカーが集う町でした。中国では非常に珍しい、外国人旅行者が溜まることができる街でした。
その大理で会った写真家の卵さん。
その後ベトナムにはまり、ベトナムの写真でデビューし(確か)、その後もベトナムに関わる仕事をしているらしいことは、ときどき風の便りに聞いていました。
この20年、一度も会わなかったわけではなく、一度、たしか十二、三年前に東京で会ったことがあります。

それにしてもね・・・・・・。
ほんとに不思議。
一杯麺屋、出会わなければ店にいる時間など5分たらず。その時間内にぴったり同じ場所にいて、会っちゃった。

私の方から声をかけると、彼は一瞬戸惑った後で、うわぁっとのけぞりながら、
「ご、後藤さんかっ! ベトナム大っ嫌いって言ってたのに、何でこんなところに!!!」
と、おっしゃいましたわ。
大嫌いではあったけど、仕事ですから、ははは。

しかも私は、もともとの予定ではその朝はハノイではなく、ラオカイにいる予定だったのでした。バンコクからの到着時間が2時だったので、そのまま列車駅に直行して乗れるやつに乗ろうと思っていたんです。ただ、ハノイの空港に着いてから、何となく、ここで一拍置いたほうがいいような気がした。落ち着く時間が必要だと思ったんです。
で、ハノイで泊まって、列車の手配などして、円をドンに換えて、それで麺を食べていたら彼が来た。
彼も前日にハノイ入りしたんだそうで。
いやいやいや。
不思議でしょうー?
こりゃもう、奇跡とか、天文学的確率とか、言っていいと思います。
こういうことってあるんですね。

20年。
大理でベルリンの壁が壊れたニュースを聞いた秋から、今年でちょうど20年です。
写真家の卵だった彼は写真家になり、私はと言えば布屋になった。私はあの頃、布屋の卵だったのかなぁ(笑)。そういえばあの頃既に、大理では藍染めの布などしこたま買い込んでいたっけ。
そっかぁ。なるべくしてなったのか、私は。


私が帰国する日にもう一度会って、今度はブンチャーというハノイ名物を食べました。
こういうことでもなければ、名物なんか食べない私ですので、楽しい経験になりましたよ。
そうそう、この前の夜には、「もう明日帰国だー」と、ハノイビールを奮発しまして(1万2000ドン、60円くらい)、満足したのでした。

ベトナムは、前とはずいぶん違って、それほど滅茶苦茶ぼってくることもなくなったし、メータータクシーもあるし、まぁ何というか、楽になりました。15年ほど前に初めてベトナムにラオスから陸路で入り、同じく陸路で中国へ抜けたときには、ベトナム人に好き放題やられまくり、ふっかけられまくり、「高い」と突っぱねるとまじでバスから降ろされたり・・・・・・。心底実感したものです。「ベトナムだけが世界で唯一アメリカに負けなかった、その理由がよーくわかった」と。
今回はね、そんなに嫌いでもなくなったよ、ベトナム。
また行く、ことがあるかなぁ・・・・・・?(笑)

ではみなさん、メリークリスマス!
奇跡なぞ起きなくていい、おだやかな夜をお過ごしくだされ。