もう一つ長編ですか?

『中原の虹』 4巻 浅田次郎 ★★★☆☆
こういう長編は、一気に読まないとだめですね。1,2巻は続けて読んで評価5を付けましたが、その後3巻、そして今回4巻と、どうもふるいません。浅田次郎の真骨頂とも言えるモノローグ部分が長すぎてくさすぎて、しかもそれがなければ全体がどうにもならない感じになってて、非常につらかった。1,2巻にはあった胸躍るものも影を潜めてしまいました。
多くの方が同じ感想を持つかもしれませんが、最後まで読み終えて、冗談だろ、と思いました。張作霖が活躍する物語が、ここで終わる理由が解せない。当然、あそこまで引っ張ると思ったので。それで、もしかすると、もうひとつ続編が来るんじゃないか、と勘繰った次第です。
生意気言いますが、登場人物が多すぎて、場面転換が多すぎて、のめりこめなかったです。もうちょっと絞ってもよかったと思うし、これだけの多人数を動かすには、浅田先生、ちと方向性がずれましたか。
『名残り火』 藤原伊織 ★★★★☆
藤原伊織の遺作と銘打たれた作品はこれで3作目になるかと思います。連載後に加筆修正を進めていた作品とのことで、もしかして未完? と心配したがそうではありませんでした。『てのひらの闇』の続編、藤原伊織にしか書けない世界。この人にしか書けない世界がある、ということが、物書きにとって最大級の賛辞であり、また、目指しうる唯一の地点ではないかと、あらためて思いました。
『悪果』 黒川博行  ★★★☆☆
直木賞候補になっていた作品ですね。おもしろいけれど、これで直木賞はないかな、というのが率直な感想です。直木賞にふさわしくないとか、力が足りないとか、そういうことではなく、この人が直木賞を取るなら、これじゃなかったでしょ、という意味で。
後半おもしろくなったけど、前半はいささか退屈でした。
『望みは何と訊かれたら』 小池真理子 ★★★★☆
ほんとに。
人が生きる意味ってなんなんだ。
と思わされます、これを読むと。
人はみんな、それぞれのやり方で、時間つぶしをしているだけなんじゃないか、とか。
この人の書く世界にいつもある虚無感が、好き嫌いをはっきり分けるかもしれません。私は好きですが・・・。
小池真理子、恐るべし。すごい作家です。ほんと、何度も書くけど、女・渡辺なんたら、と手にも取らない時代が長くてすいませんでした。
『夜叉桜』 あさのあつこ  ★★★☆☆
うまいんですよ。語彙も豊富で、え、こんな言葉初めて見たな、と思ったりもしました。いい書き手だと思うし、この小説に流れているテーマも共感できる。
ただ・・・。
書き過ぎに感じる。書き込みすぎに感じます。もう少し、何というか、読み手に委ねてくれてもいいんじゃないかと。せっかく時代劇という設定にして、世界が無限に広がりそうなのに、書き手がそれを限定してしまっているような気がしました。
『深川駕篭』 山本一力  ★★★☆☆
『亡命者』 大沢在昌  ★★★☆☆
『隠し剣孤影抄』 藤沢周平  ★★★☆☆
以上、一気にいきました。

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