東京の雪


ラッセル中のウメ、一昨日の朝

東京でも雪が降り、凍って転んで怪我をした人がたくさんだとか。ふだん降らない場所だからね・・・。
考えてみれば、高校生の頃に履いていた通学靴なんて、裏はツルッツルだったような気がする。あれじゃ滑るよなぁ。

生まれた家はすぐ横が急な坂道で、それが坂の上と下の世界をつなぐ重要な道でした。雪が降ると、たしかに滑る人続出だった。私はどうやって上まで登っていたんだろう、あのツルツルの靴で。もう覚えていない。自転車を引きずって登っていったのだから、それなりに、けっこう、苦労しただろうと思うのだけど。

高校2年の冬、もう私は選手ではなくマネージャーになっていた頃。
冬は基礎練習の時期なので、「連打」という、いわゆるティーバッティングをよくやっていました。バッター3~4人、それぞれにつく守備が数人というグループになって、ぽんぽんぽんぽんボールを上げて打っていく。バッターは自分の振りの確認やミートポイントの正確性を上げる練習になるし、守ってるほうは基礎的な捕球の反復練習になる。
で、その、ぽんぽんボールをあげるのが、私の仕事でした。
グラウンドに膝ついてぺったり座って(確か)、傍らに置いたバケツのボールをぽんぽんひたすら上げる。バケツの横には捕球者がいて、次々と返ってくるボールをバケツに補充するので、私はただ機械のようにボールを上げ続けるわけです。
ある日、雪が降ってきました。
降りだしたと思ったら、あっという間に、うわうわと、降ってきた。
空を見上げると、鉛色の空全部を埋め尽くすみたいに、鳥の羽根のような雪が、充満してた。
うわぁ、空一杯の雪だ、と思って、呆けたみたいにぼんやり見上げてしまった。
たぶん、「お願いします」とバッターに促されるまで、空を見上げていたような気がする。
そんなことが数秒といえども許されたということは、私は間違いなく2年だった。もうじき3年になる冬だった。

雪が降ると、いつもその時のことを思い出します。空一杯の、鳥の羽根のような雪と、グラウンドにぺったり座ってそれを見上げていた自分のこと。

寒波はしばらく居座るようですね。軽井沢も連続真冬日です。ではまた