『傀儡』 坂東真砂子
「かいらい」とも読めますが、「くぐつ」と読みます。
鎌倉幕府だの北条時頼だのが出てくる時代の話。いわゆる時代物とは違いますが。
4人の人間が絡み合いながら全体として一つのストーリーに結びつく、そしてその舞台は鎌倉。日蓮や親鸞といった宗教界の大物も登場。日蓮が相当うさんくさくて面白かった。私が通った高校はたしか・・・・・・(まぁいいか)。
この人の死生観、としか呼びようのないものが心に残る小説です。この人はいつもそういうものを書く、自分の世界が確立されている作家の1人だなぁといつも思います。☆4つ
『銭湯の女神』 星野博美
それほど有名な人ではないと思いますが、私はずっと好き。特に『謝謝!チャイニーズ』はあまりにもよかったので図書館で借りた後に購入しました。写真家であり文章家。私よりもたぶん一つか二つ年下のほぼ同世代。
一言で言えば、なかなかに潔い人なのであります。
そして思慮深く、時代に阿らず、自分の居場所や立ち位置のようなものを、慎重に考える人。だと思う。売れっ子になったりしたら、この人は写真も書くこともやめてしまうんじゃないかと思わされる。
写真が驚くほど身近になった現在。かつてはそれでも、フィルムを買わねばならず、フィルムは現像しなければならなかったから、そこが若干のハードルになっていたけれど、今では誰もが自分の生活に不可欠となった携帯電話にカメラがついていて、そこそこ撮れるし、デジカメは何枚撮っても基本的にはタダだ。誰もが無造作にシャッターを切る。人にレンズを向けることへのためらいが、ほぼないかのように見える世代、そして種類の人びともいる。
素人が自分の家族や友人をただスナップしただけの写真がもてはやされる。おそらく、少々の感性はもちろんあるのだろうと思うけれども、それが理由ではなく、誰かがプロデュースすることによって、それは世に認められる。写真が、「何を表現しようとしたか」ではなく、「誰がプロデュースし、誰がメディアに載せたか」によって評価される。
そんな時代に写真を撮るということは、とてつもなく難しいことなのではないかと、常々思う。
だから、この人がまだ仕事を続けていることを知ると、心底ほっとする。
この本は、香港暮らしを切り上げて日本に帰国した後の、どうしても母国に馴染めない違和感をつづったエッセイ集。写真はほとんどない。でもおもしろい。私も旅の多い人生を歩いているが、この人ほど徹底してはいないな、と思った。撮り続けてほしい、書き続けてほしい、数少ない1人だ。☆4つ
今日も暖かく、雪がぐんぐん溶けました。昨日からちょっと頭のねじが1個微妙にずれてしまい、裁縫仕事は休んでいます。昨日は本も読めませんでした。もうじきタイへ行くので、向こうでのんびりします。あ、ところが、タイの知人からのメールでは、今年も煙害がひどく、私が行く頃は最悪じゃないかと・・・・・・。ちょっとブルー。
ではまた