『朝日のようにさわやかに』『ノルゲ』

『朝日のようにさわやかに』 恩田陸
短編集。
ホラーだったり、そうじゃなかったり、ショートショートだったり、もちょっと長かったり。
どれも面白かったけど、表題作だけがちょっと意味不明だったかな。かなり流して読んだこっちも悪いのですが。
評価  4点
『ノルゲ』 佐伯一麦
正統派の私小説。一体いつ以来だと考えてしまうくらい、久々にこのジャンルの本を読みました。作家の名前を知っていたから、というのは大きかったですね。たしか東北地方のどこかで、不器用な小説を書いている人だ、ということを記憶していました。
美術を学ぶためにノルウェーに留学する妻について、一年間オスロで暮らすことになる男の、ただひたすらに日々の小さな出来事と自分の心の裡をつづっていく本です。
それを読ませるってのは、やっぱりただ事じゃない、んですよね。
10代の頃、教科書で私小説を学ぶと、こんなもので作家になれるのなら誰だって・・・、と思ったものですが、今はわかります。こんなもの、じゃない。やっぱりそれは、それだけの力があるから世に出るし残るのだって。
器用な作家なら掃いて捨てるほどいる中で、不器用な作家って貴重です。かつて高橋和巳がそうであったから、というわけだけじゃないですが。おそろしく個人的な意見ですがね。
評価  4.2点 

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