この病気になると食べない方がいいものとかあるのかな? と誰もが考えるらしく、よく忌避されるのが肉と乳製品らしい。肉はわからないが乳製品は化学的根拠はないようだ。肉をやめるのもどうかと思うが、そうだなぁ、食事の中に豆を多くしてみたらどうかなと考えた。
豆を食べるといえばやはりインド、ネパールだ、私の中では。ネパールでは常食であるタルカリダルバートも、ダルがなければ始まらない。タルカリ=野菜、ダル=豆、バート=米、ちょっとした野菜のカリーにダルスープがついた山盛りのご飯。山に入ったらもうこればっかり! 食べていた気がする。
ダル=豆なのだが、食事する場所で「ダル」と言えばそれは「ダルスープ」のことだ。ちょっとややこしいかもしれないが。
インドでもダルは日本の味噌汁のような位置付けだ。ターリー(インド版定食、タルカリダルバートとまぁ一緒だ)を頼んで「辛い」という顔をすると、ダルのおかわりを持って来てくれたりする。ダルは辛くない(はずだ)。
昔買った『インド家庭料理入門』という本を引っ張り出して眺めてみると、今さらながらに面白い。薬膳と言うと中華の感じだが、インドのカリーも立派な薬膳だと思う。最後にインドに行った時、1か月以上滞在していてローカルの食べ物ばかり食べていたが、お腹は壊さなかった。インドでお腹を壊すのは、なんちゃって西洋風の旅行者向けの店で中途半端なものを食べるせいではないかと、最近は思う。ローカルの店がいちばん安全だ(ま、そりゃ考え方は様々だが)。
ネットでインド食材店を探索してみた。たくさんの豆、スパイス、米、お菓子なんかも売られている。見ていると楽しい! チキンビリヤニのミックススパイスなんていうのもあった。通常は、クミン、ターメリック、カルダモン、などのスパイスを自分で組み合わせて使うのだが、最近はインド人だって忙しい(!)らしく、あらかじめミックスされたスパイスも多い。インドでもよく売られている。
チキンビリヤニとダルスープを作ってみたいな。あとは豆のカリーを何種類か攻略してみたい。
チキンビリヤニといえば忘れられない味がある。インド北端のカルギルという町で食べたそれだ。
カルギルはラダックにある町。とはいっても西のはずれに近く、すぐにカシミール。カシミールのシュリーナガルとラダックのレーの中間あたりにある。そして印パ停戦ラインから10kmしか離れていないので、しばしば砲弾が飛んできてニュースになる。
そんなカルギルに行ったのは2018年の夏。ザンスカールの中心パダムまでトレッキングで1週間かけて行き、そこからレーへ戻るのに車道としてはカルギル経由しかなく、中継地点として1泊した。パダムからカルギルへはバスがなく、乗合に乗ったのだが後ろの座席で拷問だった、二度とあれはやりたくない。
カルギルでは同乗の西洋人たちは宿を決めていてちょっと小じゃれた感じの所で降りて行ったが、私は土地勘がなかったのでバス駅で降ろしてもらい、その近くで宿を探した。バザールの中の2階に受付がある宿がよさそうで決めた。
そこに併設されていたレストランで食べた夕食が、チキンビリヤニだった。
正直それまでほとんど食べたことがなかったのではないかと思う。夫がチキンビリヤニを選んだので、では私はとメニューを見ていると横に立っていた店員が
「チキンビリヤニだけでたくさんあるから、頼まなくていいよ」
と教えてくれたのでそうした。
しばらく待って出てきたのは、大きな金属の丸いプレートの上に、丼で形を作ったかと思われる炊いた米の山だった。
「はて、チキンビリヤニというものを頼んだはずだけど」
と夫が呟くと、店員が親切にその山を崩してくれて、
「チキンは中に入ってまーす」
と楽しそうに言った。
そのチキンビリヤニが美味しくて!
辛くないし!
付け合わせのコールスローのような野菜も美味しくて!
忘れられない。その後あちこちでチキンビリヤニは食べたけれども、カルギルのそれと同じレベルのものには当たらない。あぁカルギルのビリヤニを食べに行きたい。
実は今年つまり2022年、9月に入ったらインドに行くつもりだった。スピティ渓谷という所に行きたくて、いろいろ計画していた。
スピティはデリーから北へ上がって行き、マナリ―というハッパで有名な町を基点にしてぐるっとチベット(現中国領)国境を回る感じの場所だ。ここにはキナールカイラスという山があり、冬だと思ったがチベットのカイラス山から神様がこっちへ避寒に来るそうだ。チベットのカイラスには行ったので、キナールカイラスにもぜひ行ってみたい(見てみたい)と長いこと思っているが、ここも夏しか行けない場所なのでなかなか行けなかった。今年はそろそろと思っていたが、病を得たのでさすがに無理と断念した経緯がある。
その時に、デリーからシュリーナガルに飛び、そこからバスでカルギルへ行き、チキンビリヤニを食べ、レーへ行き、陸路でマナリ―へ向かおうかとも考えた。カシミールからラダックへ上がっていく道もなかなか絶景らしい。レーへ陸路で向かう人のほとんどはマナリ―ルートなので、レアルートが好きな私には垂涎である。
デリーから北上してデリーへ戻るとなると、同じ道を行って来いになる。シュリーナガルから入れば大きな右にょう(ただし何を聖なるものとするかはわかんないけどね)のような感じになるから、いいなぁと思ったんだ。
今年は無理だけど、元気になったらぜひとも行ってみたい。
ゆっくりだけれども、何が何でも元気になるわ。
それまでは我が家の炊飯器製のチキンビリヤニで(^^;
少し下にスクロールした方が見やすいです。
左から時計回りにシュリーナガル、カルギル、レー、南へ下がってマナリ―、その右下がキナウルカイラス。