笑わない

いつも午後1時のテレビニュースを見るのだけど、今日はその後の番組(トークショー?)に浅田次郎が出ていたので続けて見ました。
この番組、NHKの建物内のどこかからか、その日出演する人が花道みたいに見学者の間を歩いて行ってスタジオ入りする趣向。
いつもはみんな笑顔を振り撒きながら、握手しながら、手を振ったりしながら、歩いていく。
浅田次郎はというと・・・。
まったく笑わずに、手も振らず、もちろん握手もなく、ただしゃっしゃかとスタジオに向かい、にこりともせずに用意されていた椅子に座った。
聞き手役の若い女性アナが座っても、紹介されても、1つ2つ話を振られても、にこりともしない。ようやくちと笑うまでに、何分かかったろうか。計っちゃいないけど。

つくづく思ったのは。
今の時代、人と接する時、人に見られる時、誰も彼も、笑いすぎだということ。
面白くもないのに、楽しくもないのに、笑っているということ。
特にテレビの中では、笑っていない人を見ることなんてあるだろうか? ドラマは除くけど。
ほんとにどいつもこいつも笑ってる。
猿みたいに手をパンパン叩きながら全員が同じように笑うなんてのは、いつ頃からのお約束なんだろうか。
笑ってないとダメ、笑ってないと視聴者に好かれない。
だから俳優だろうが物書きだろうがなんだろうが、とにかく笑ってるんだよね。

ぜーったいに、自分が面白くない時には笑わない浅田次郎、かっこよかったよ。

浅田次郎の小説でいちばん好きなのは、実は「きんぴか」。3部作。デビュー作。今日の番組では、「編集者の意向などもありまして」と語っていたから、まぁ、そんなに好きで書いたわけでもないみたいだけど。ただし、お笑いには自信があるとも語ってた。「きんぴか」はいい、笑えるしちゃんと泣ける。
次に好きなのは「蒼穹の昴」。後半こちらが息切れしたけど、前半の主人公・春児の子ども時代の描写なんかは、これでもか、っていうくらい泣ける。断言しますが、いま再び読んでも、絶対に泣きます。
この「蒼穹の昴」の続編「中原の虹」については、去年か今年、レビューしたはずですが、そう、ありえない終わり方をして「続編ですか」と書いたんだっけ。そしたらほんとに続編が出たみたいですね「マンチュリアン・リポート」という小説らしいです。図書館で検索したらまだ購入していないようでした(?)。

浅田次郎、今も原稿用紙に万年筆で執筆するんだそうです。尊敬する。文字を落とすときに、既に組み上がっているということ、本当に尊敬する。面白い小説をまた書いてほしいです。
そういや、同じ時期に同じような満州あたりを舞台に書いていた、ジャナイ船戸与一は最近何か書いたのかな?

明日も晴れ。今日はマイナス2度少しまで下がりました。ではまた

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