山のこといろいろ

メラピークに一日でめげた私ですが、ラダックの山をご推薦くださる方があったり、「メラピークは大丈夫、最初はそこがいいんじゃないか」とお勧めくださる方あり・・・。またやる気になってきましたよ(笑)


やる気な靴たち。ちょと虫干し。
左がこの間ゴーキョピークへ行った時の靴。HI-TECというメーカーで、このメーカーの靴でなければ歩けない私にとってはまさに生命線。大きな声では言えませんが、一生分に3足持ってますの(笑) あ、モデルは別々ですけれど。
真ん中と右はアゾロのシューズ。真ん中はあまり使っていません。右はそこそこ、ときどき、使います。ゴアテックス内蔵(?)の革製。これにアイゼン付けちゃだめですかね・・・? というか、本当はHI-TECにアイゼン付けたいんですけど、それはさすがに皆さんに怒られるかなと。厳冬季用の靴を、6000を越える1日のために買うというのも、何だかなぁと思って。

私はヒマラヤを何度も歩いている、というのは事実なのですが、皆さんに誤解されると困るので書いておきますが、ヒマラヤトレッキングというものは、いわゆる「山歩き」であって「山登り」とは違います。そこには鎖もハシゴもないし、手をついて登りたくなるような急な場所も、どうでしょう、カラパタールやゴーキョピークの最後の最後に少しありますか、って感じです。日本の北ア縦走のほうがはるかに過酷で危険で私は行きたくないです(笑)。
そんなわけで、私は登山用具をあまり持っていません。ザック、テント、シュラフ、は持っているけど、全部20年選手なので、そろそろザックは買い換えないと。靴もいわゆる重登山靴、あるいは冬山用の靴は持っていませんし。ピッケルやハーネスや、雪山用のスパッツやアイゼン、何も持ってない・・・・・・。

とりあえず、ユマール(ザイルが張ってある場所を登るときに、ザイルをつかむための道具、自分をザイルに確保するために使います)は1個買うべきかなとネットサーフィンしていたら、とある8000m峰の公募登山隊の記事にぶつかりました。
「ユマールの使い方の講習、これで安心、明日からアタック」
え? えええええええええ? アタック?
C1での様子を伝える記事だったのですが、C1でユマールの使い方講習って、それは笑い話ですか?
うーん。
まぁ、好意的にいろいろと補足しながら考えて、みんな使えるのだけど暇だし体を動かした方がいいから、ユマールの使い方のおさらいをしました、と、そういうことなのでしょう(であると祈りたい)。
例えるならば、免許を持っていない人を高速道路に連れて行き、エンジンのかけ方を教え、「さ、これで大丈夫、行きましょう」と走り出しちゃうことに近いくらい、ありえない話に思えるのですがね。
でもこの人たち、ほとんど登頂されたそうで、よかったですね、おめでとうございます。

公募登山は何年前だったか、エベレストで大量遭難事故があって、日本人女性として2番目のサミッターとなった難波さんが亡くなったときに一躍人びとが知るところとなりました。その後、どうなってるんだろう、そもそも公募登山っていくらくらいするんだろ、とまた検索していて、2007年のエベレスト公募隊の事故を知りました。その公募隊を率いた人が知人だったので驚きました。もう15年以上前になるか、その頃毎日顔を見ていた人だったので。
3人のお客さんの隊だったようですが、1人が登頂後に亡くなったのだそうです。もう1人の登山者は山頂直下で完全に危ない状況にあるところを、たまたま同日登頂していた他の隊に救助されたのだとか。

8000m峰が手の届くものになった。
公募隊というシステムがもたらした最大のものは、それまで先鋭的な登山家にしか門戸を開かなかった高峰が、ガイドをふんだんに付けることによって登山家ではない登山者にも登れるものになった、ということでしょう。
しかし、公募登山ってどうなんだろ・・・。
登るだけの実力のある人が、今まではあまりに高額な登山料その他諸々の事情で登れなかった、それが登れるようになったのであれば、それはいい。
しかし、登るだけの実力のない人まで、そこに向かうことになっているとしたら、それはよいこととは思えません。
C1でユマールの講習を受けて8000m峰のサミッターになる人も現実にいる。でもそれは、すべての条件が幸運にも揃ったことによるもので、一つでも条件が暗転すれば一足飛びに死につながる。
大きなお世話、かな。

昔、ヒマラヤの虎と呼ばれたシェルパを取材したことがあります。エベレストに無酸素で10回登頂したそのシェルパは、残念ながら貧乏で、その時もスペイン隊を率いてベースへ出発する直前でした。そのスペイン隊はターメ谷の壁でクライミングの練習をしていた。彼は「今ごろ練習なぞやってやがる、どうせダメだろ」と笑い飛ばしていました。その彼の足元はと見れば、いわゆる革靴。登山靴ではありません。日本のサラリーマンが履いているような、私の父が毎日それを履いて会社に行っていたような、靴なんです。その靴で、ルクラからターモまで1日で歩きとおしてくる。引退が囁かれていた年齢であったはずですが。
そんな彼だから、エベレストに無酸素で登れるんです。誰にでもできることではないんです。
彼は「どうだ、エベレスト、行かないか? なに、何てことない山さ、そうだな、あんたの体なら、大変なところは俺が背負って行ってやる、どうだ?」と言ったものです。実際、あのときの彼ならば、私を背負って行くこともできたかもしれない。もちろん私にはその気もなかったし、そもそも高額の登山料が払えるわけもなく、笑い話として聞き流しましたが。

夢を持つのはいいことだし、それがでっかきゃでっかいなりに楽しいし挑戦するにも張り合いがありますよね。
だけど私は8000は無理ですわ(笑)
今まで多分5600は越えてる。それに500なら足せるかもしれない、そしたら6000か。で、6000に挑戦するというあたりが、自分に許される範囲だろうなと思います。もちろん、ユマールの練習は日本で、知り合いの山ヤさんに頼んでやっていきますよ。あと滑落したときの制動ね、あれもちゃんとやっときます。

午前中はふんふん鼻歌気分で靴の写真なぞ撮っていたのに、その後何だか暗い気分にもなってしまいました。でも自分は自分の手の届きそうなところにある目標を持って、それに向かってやっていこうと思いました。何だかんだ言って、私は本当に、ヒマラヤが好きなんですよね・・・。

ビタミンC摂ってがんばれ。
てわけではないですが、夫が展示会のときに知り合った方が送ってくださった、広島の島でとれたかんきつ類。放っておいてもできちゃうんだそうです。もちろん、プロの農家が「放っておく」のと、私が放っておくのとは、ぜんぜんレベルが違いますが。
それにしても。山でミカンができちゃう土地、いいなぁぁぁぁぁぁ。

今朝は氷点下9度、明日は氷点下6度。ではまた

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