聖火はエベレストを登る?

ネパール国軍と警察は、オリンピック聖火のエベレスト登頂を援護するため、ネパール側の第二キャンプ(第一キャンプの間違い?)に要員を配置したそうです。キャンプ地の標高は約6500m。当然、高地訓練をしている特別な人たちが任務に当たります。
彼らの任務は、聖火に対する抗議行動の阻止。
必要ならば発砲も可なのだそうです。
まぁこれは、「私たちは中国の味方ですから」というネパールのアピールなんでしょうけれどね。だって、標高6500以上に行ける抗議活動家って・・・。そりゃいるかもしれないけど、だからと言って、どういう「妨害」が予想されるんでしょうか。先に山頂を占拠して登らせないとか?
無理ですわ(笑)
聖火はチベット側から登り、4月末から5月10日の間に登頂する予定だとか。
例年であればアタック・ラッシュのこの時期ですが、ネパール政府は5月1日から10日の間は、7500m以上に登ることを許可していません。いわゆる普通の登山隊のみなさんは、時間調整をしなくちゃならないわけですね。その後どっと押し寄せたりすると、あの時(1996.5.10いわゆるプレ・モンスーンの大量遭難)のような事故にも結びつきかねないな。いや、登山許可申請が激減しているとも聞いてますから、そのへんは大丈夫かな、だといいのですが。
ところで、今週末に長野に来る聖火が、そのうちにぐるっと回ってエベレストに行くのかと思っていましたが、別立てだったのですねー。知りませんでした。
それにしても、聖火がエベレストに登るって、一体何の意味が・・・。
標高8850m、強風が吹き荒れ、酸素はおそろしく薄い中、火は燃えることができるのでしょうか。というか、何で燃やす必要が・・・?
「ここも(つまりチベットも)中国領土だからっ!」
と、全世界にアピールしたいがため、ですよね。全世界、そして中国国内に。
バカバカしい。
それでいて「オリンピックは政治と切り離すべきだ」と言われてもね。にわかには納得できませんわね。
エベレストはチベットからもネパールからも神の山として考えられていて、もともとは登ることが許されない山なのです。それはエベレストに限らず、他の山々にもそういう事情はありまして、たとえばマナスル山は日本隊が初登頂を果たした山ですが、その後麓の村で疫病が流行り、以後ネパール政府はマナスル山周辺へのトレッキングを長く禁じたという経緯があったりします。
それでも人は高いところに登りたい生き物です。いつの間にかエベレストも今や年間数百人が登頂することもある山になりました。神の山に登るということを、登る人とそれを見守る人がどのように理解し納得しているか。そのあたりはかなり微妙ですが、まぁ、純然たる登山であれば、許されると考えていいのかなと思います。
最近では比較的経験の浅い人でもお金さえ出せばプロが連れて行ってくれる登山方法もありますが、そして装備の進歩によって登頂者数は激増しているとはいうものの、それでも感覚的には、エベレストに登るというのは、生死五分五分、ではないでしょうか。体力と技術と精神力の全てを兼ね備えても、天候の急変によって命を落とした例は数限りなく。
命を賭けて登る。
その是非はともかくとして。
もしかしたら死ぬかもしれない、でも、それでもいいから登りたい。
何のためもへったくれもない。ただ登りたいから登る。
そう思う人だけが、ベースキャンプから山頂への一歩を踏み出せる。
それだけの思いを持つ人だけに、神は道を開ける。
私はそんな風に思うのですが。
もちろん、聖火は登ってしまうんでしょうけれど。
世界一見たくない、登頂の図です。

3件のコメント

  1. 野口健さんのブログには、あくまで噂ですけど、ネパール側BCにも中国の軍がいるようなことが書かれていました。また、エベレスト街道沿いの村々で中国の公安がチベット亡命者の捜索やチベット国旗を掲げないようにさせているとのこと。既に一月前にAFPの記者がコダリ近くで遭遇した中国公安に取材を妨害されたと、AFPが写真入りで伝えています。
    ちなみに、野口健さんへの中国人による攻撃が巨大掲示板で散見されているとのことですが、いずれ怒りの矛先は根本的なものの方へ向かってゆくのが自然の理です。
    が、マレーシアの一件で、そう達観もしてられないと、下手すりゃますます大日本帝国化が進むぞと、ほんま戦々恐々です。

  2. ネパールはカトマンズやポカラでも、デモの参加者などをどしどし拘束していますよね。
    共産党毛派が第一党になることも関係しているのか、非常に中国寄りなんですね。
    公安か・・・。中国なら、ありえると思ってしまうのもまた・・・。
    野口健さんって、なんで中国人から攻撃されてるんでしょう?

  3. 野口健さんの公式ブログを読んでみれば、チベット人へのシンパシーが感じられます。
    今の状況ではチベット人に少しでも理解を示せば「中国を侮辱した!」「許せん!」という有様ですからね。
    →http://blog.livedoor.jp/fuj…
    とくに3/21、22の記事。

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