1993年の秋

20080413-s-s-kobozu.jpg

ラダックの都・レーの僧院。1993年9月。
小さな僧院を訪れると、この小坊主くんが鍵を持って案内してくれました。
暗くてぶれぶれ(笑)。
特段に意味はないんですが、写真を整理していて出てきました。ぶれているんだけど気に入っていたので。ほんと、写真は下手です・・・。
この写真を撮った後、私はレーを基点とする9日間のトレッキングに出かけ、亡命チベット人の馬方・ケルサンさんと起居を共にしました。そしてレーを離れてすこし南に下り、亡命チベット政府のあるダラムサラという町に行き、ダライ・ラマ14世にお会いしました。あのおそろしく濃厚な40分近い時間・・・・・・。少なくとも対談中は笑顔の中でも決して笑ってはいなかった14世の目の光と共に、あの時すでに抱え、その後もずっと抱え込んでいる重い問いは、今も自分の中でくすぶり続けています。
チベットとはほんとうに、浅からぬ縁がある。
しみじみ、つくづく、そう思います。
私は基本的に、自分が書いたものは読みません。ライターだったときも、先方に渡すまでは何百回も読み返しますが、終わったら雑誌が届いても読みませんでした。死ぬほど恥ずかしい。山中に穴を掘って埋めたくなる。自分を、ね。
昨日、珍しく、ダライ・ラマにお会いしたときのことを、自分はどんな風に書いたのだろうと思って、読み返してみました。へぇ、と思いました。えらく淡々と書いてるな、とおかしかった。
その前年に出した著作の中で、あまりに率直に書きすぎた部分が何箇所かあり、それによってかなりのバッシングを受けました。だから、というわけでもないのでしょうが、相当気を使って言葉を選び、あっさりと、書いたのかもしれません。様々な意味での縛りはきつかった、と思います。勝手に自分で自分を縛っただけかもしれませんが。
なんでこんな話を書いているかというと、先日来日された法王の記者会見をテレビで見て、「あ、またこの怖い目をしている・・・」と何度も思ったから。皆さんには笑顔に見えたかもしれない、いや、法王ご自身が笑っていらっしゃるのかもしれないのですが、私には、怖い・・・。
またこんなことを書いてると危険かもしれません(笑)
このことについては、後日、勇気があったら書くことにします。
2日ぶりの更新、週末のカウンターはおとなしいです。気温が大きく変化しているからか、何日か腰の具合が悪く、うだうだとしておりました。
本日の軽井沢は午後から雨になりました。
気温は低い低い・・・。
ようやくふくらみかけたスイセンの蕾が、雨に震えています。
どうか、標高の高いあの地で捕らえられている人々が、寒さに震えていませんように。
ではまた

4件のコメント

  1. バッシング…どの辺か判りませんが、チベタンに対する否定的な描写部分でしょうか。当時の表には(今も?)ステレオタイプしかいなかったですからね。そういえば、ダラムサラで漢族にもいい人はいると妙に力説していたのが印象的でした(これからダライラマ法王に会うチベット体験者にしては視界がクリアだなと)が、そんな縛りがあったとはつゆ知らず、Mさん含めて日に日に増してゆく極度の緊張感を楽しく傍観させて頂きました。前夜なんか見ているこっちまでドキドキしてきましたよ。会いたかったな、猊下。。。

  2. はは、バ・・・の件は忘れてください。
    で、そうですね、極度の緊張感・・・。まさにそのとおり。
    前夜なんて、目は宙をさまよっていたんじゃないでしょうか。
    うん、予想外のトラブルだったとはいえ、残念でしたね。でもまた次の機会ってこともあるっす。

  3. ご無沙汰しておりまして申し訳ありません。
    来日前の、日時は失念しましたが14世の今回のことに関する会見をニュースで見ていて私も笑っていないのに笑っている?と不思議な感覚を体験しました。今回の会見でもやはり同じで特に記者が’招待されたら北京オリンピックに行きますか?’という内容の質問に’行きますよ’と答えられたときの強い瞳は忘れることが出来ません。yamaneさんが’怖い’と書かれているのを拝見して私だけではないと少し安心すると同時に14世の抱えてこられたものを思いつらくもなりました。信仰に身を置かない私ですが胸が痛いです。

  4. りーさん、こちらこそご無沙汰しております。
    そうですか、りーさんもそう思われましたか。14世はお立場上、我々の前に出てくる映像というのはほとんどが「質問に答えている」場面ですよね。14世は答えているのだけれど、そして多くの場合笑顔でいらっしゃるのだけれど、その目は、「あなたはどうなのですか? あなたはどう考えるのですか?」と、逆に問うているのではないかと、私には思えます。だから「怖い」と感じるのだと思います。考えろ、考えろ、そして語れ、と言われているような気がするから。
    もしかして聞き違いだったら大変なのですが、ニュースで見た会見の映像の中で、14世は「Help me」とおっしゃった、と思います。打たれました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)